■ AIは「未来を当てる」のではなく「考えなくてよくする」
まず、生成AI(ChatGPTなど)と機械学習(ML)は、得意なことがまったく違います。
- 生成AIは参謀タイプ:
ルールや状況を見て、「このケースならこの手法が合ってる」と考え方を選ぶのが得意です。説明もできます。
ただし「未来の数値を高精度に当てる(=予測)」のは苦手です。 - 機械学習はエンジンタイプ:
過去のデータをもとに、予測値(たとえば需要数や売上)を計算するのが得意です。再現性と精度のある計算役です。
つまり:AIは「何で考えるか」を決める、MLは「数を出す」係です。
ステップを分けて導入できます(フェーズ1→2の2段構え)
◆ フェーズ1:考える時間ゼロ。在庫の「数決め」を自動化
✅ 何をするのか?
- ルール(在庫が少ない、納期が近いなど)に当てはまったら「発注すべき」と判断。
- その上で「いくつ発注するか?」を自動で提案します。
- 使う計算式(例:EOQ、sS方式、カバレッジなど)は生成AIが状況を見て自動選択します。
🎯 目的
- 正解を当てにいくのではなく、「毎回悩まず済むこと」がゴールです。
- 3つの提案(安全寄り/標準/攻め)+理由付き、で「選ぶだけ」にします。
📈 効果イメージ(初期〜改善)
- 初期は 50〜60点 の無難な提案
- 実際の採用/非採用ログを活用して、70〜80点へ段階的に向上します(使うほど賢くなる設計)→ 別途このようなログを採取する仕組みをまず作らなけばなりません。
◆ フェーズ2:「予測したいView」にチェック → 自動でMLが予測
✅ 何をするのか?
- 分析したいテーブル(売上、在庫消化など)に「予測する」の印をつけるだけ。
- 裏側でMLが自動で学習し、週次や月次で予測を生成します。
- 精度は WAPE、Pinball、Coverage などの指標で見える化されます。
🎯 目的
- 精度重視。対象は「ある程度データ量のある領域」(売上、消化、数量など)
📈 効果イメージ
- 適切なデータがあれば 80〜90点を狙えます(予測の精度という意味で期待できるかどうかは全く不明です)
📌 導入ステップのおすすめ(段階的)
| フェーズ | 内容 | 目標 | 期間目安 |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | 発注数量の提案(3案+理由) | 現場の考える時間ゼロ | 3〜4ヶ月で導入可能 |
| フェーズ2 | Viewに印をつけて自動予測 | 精度重視の業務に対応 | 数週間で対象を拡大 |
| R&D検討 | 薄いデータを他社知見で補う(将来的) | 長期的な底上げ | 外部委託で開発するレベルではないです。 |
使えば使うほど精度が上がる仕組み(ユーザーの履歴を使う):「習慣地図 × 業務通知」
これは需要予測とは別のアプローチですが、「業務の抜けや遅れを防ぐ」という意味で非常に有効です。
📌 どんな仕組み?
● 習慣地図とは?
- 各ユーザーがいつ・どの業務をやっているかを記録して、**“業務の地図”**を作ります。
- たとえば、「毎週火曜はAR確認をしている」「毎朝9時に在庫点検している」といった行動パターンが地図になります。
● 抜けやゆがみの検知とは?
| 種類 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 穴 | 今週、いつものAR確認がない | やるはずの業務を忘れているかも |
| ゆがみ | 購買→入荷の流れが普段と違う | 異常な変化かも(リードタイム遅延など) |
🔔 通知のタイプ(役割別)
| 対象 | 通知内容 |
|---|---|
| 担当者 | 「今週まだARエイジングを見ていません」など、抜け防止 |
| 上司 | 「在庫チェック実施率62%(通常85%)」など、要約+異常 |
| 管理部門 | 「締め日前の未処理リスト」など、全体俯瞰 |
通知には、根拠(過去の習慣や数値)も添付されるため、納得感もあります。
🛠 導入は軽量 → 本格の2段階で
フェーズ1:まずは「役立つ通知を出す」だけ(4週間目安)
- イベントログ(画面の閲覧や承認)を収集
- よくある曜日×時間の「習慣」を学習
- 抜けや異常があれば通知
- 通知には説明付き、過剰通知は抑制
フェーズ2:業務の“つながり”も見る(6〜8週間)
- 各業務の**流れ(グラフ)**を作成
- 「いつもある流れが今週はない」「順序が変」などを検知
- 個人/チームごとの型を学習し、通知の粒度や内容を最適化
ログを利用した仕組みで、一般的なAIとは異なりますが、生成AIとなじみが良いと思います。エンジニアのモチベーションが上がりそうなテーマなので、やってくれる人はいるかもしれません。ただ、履歴をもとにした仕組みは一般的なAI会社では通常依頼されるようなものではないので、知見を持っている人材は稀です。事業会社(楽天やリクルートなど)で社内のECサイトで履歴で意識決定する仕組みを作っている人材が適任ですが、探すことは難しいです。一人伝手でいないわけではないです。
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