Odoo 会計 「支払・入金処理(Payments)」と「未消込(Outstanding)勘定

🔹 Odooにおける自動消込の前提

自動消込が成立するためには、以下2つのデータがOdooに存在している必要があります:

データ入力タイミング
① 取引データ(請求書・支払登録)顧客請求書、仕入請求書、支払登録事前にOdooで作成済
② 銀行明細データCSV取込またはAPI連携で取得した入出金データ月次や日次で取込

この2つが金額・日付・取引先名などで一致すると、Odooが自動的に候補をマッチングして「消込対象」として表示してくれます。


🔸 自動消込の処理フロー(顧客入金の例)

✅ Step 1: 顧客請求書の発行

  • 顧客に請求書を発行(ステータス:未支払
  • 売掛金(例えば科目 113000)に仕訳が発生

✅ Step 2: 顧客から入金がある(銀行へ入金)

  • 楽天銀行などの口座に入金される(Odooはまだ知らない)

✅ Step 3: 銀行明細データをインポート

  • 銀行の明細CSVまたはAPIでOdooに銀行トランザクションを取り込み
  • 銀行仕訳帳に未消込トランザクションとして表示

✅ Step 4: Odooが請求書と銀行明細をマッチング

  • 金額、日付、取引先名などから自動マッチング(≒ 自動消込)
  • 条件に合えば「消込候補」として表示され、「✔」で承認するだけ

✅ Step 5: 完全消込

  • 銀行仮勘定(例:123900)と売掛金(113000)などが相殺され、残高がクリアになる
  • ステータス:「支払済」と表示される

🔹 概要:Odooの支払ステータスの流れ

  1. 未支払(Not Paid)
     → 請求書作成直後、支払登録がされていない状態
  2. 部分支払(Partially Paid)
     → 一部の支払が完了している状態
  3. 支払中(In Payment)
     → 全額支払済だが、まだ銀行取引との照合(reconciliation)が未実施
  4. 支払済(Paid)
     → 支払金額と銀行取引が一致・照合され、完全に消込済

🔹 未消込(Outstanding Accounts)とは?

Odooでは、支払や入金が行われた直後にはまだ「銀行の実取引」と一致していないため、以下の「仮勘定」に記録されます:

項目内容
Outstanding Receipts顧客からの未照合入金(受け取ったが銀行と未一致)
Outstanding Payments仕入先への未照合支払(支払ったが銀行と未一致)

これらの勘定は、一時的な処理待ちの場所と考えると理解しやすいです。


🔸 実際のOdooでの処理手順

✅ 顧客請求書の支払処理(Customer Payment)

  1. [会計] → [顧客] → [請求書] から該当の請求書を開く
  2. [支払](Register Payment)をクリック
    • 支払方法:Manual / Bankなどを選択
    • 支払日・口座を入力
  3. [支払作成]をクリック

→ ステータスが「In Payment」になります(未消込)


✅ 銀行との消込処理(Bank Reconciliation)

  1. [会計] → [閉鎖(Closing)] → [消込]
  2. 銀行同期 or CSVで取引をインポート
  3. 自動・手動で取引と支払を一致させる(Reconcile)

→ 照合が完了すると、請求書のステータスが「Paid」になります。


✅ 勘定科目の設定場所(重要)

  • [会計] → [設定] → [銀行口座] → 対象口座の編集
  • タブ「設定(Configuration)」内に以下があります:
設定項目説明
Bank Suspense Account銀行仮勘定(未確定の振込用)
Outstanding Receipts(要確認)入金の未照合処理(顧客)
Outstanding Payments(要確認)支払の未照合処理(仕入先)
Internal Transfers内部振替用勘定

ここでそれぞれ勘定科目を指定する必要があります(例:123900 銀行仮勘定など)。


🔸 補足:なぜこのプロセスが重要か?

銀行との照合作業(Reconciliation)を分けることで:

  • 実際の支払・入金と、銀行記録との不一致を検出可能
  • 決算書上、正確なキャッシュ残高が反映される
  • 自動化された銀行連携(API/SFTP)と連携可能

✅ まとめ

項目説明
ステータス管理未支払 → 部分支払 → 支払中 → 支払済
Outstanding勘定銀行との照合前の一時勘定。正しい勘定科目を設定しておく必要がある
Reconciliation銀行明細と一致させるプロセス。これにより完全に「支払済」となる
中小企業でも有効銀行同期がなくてもCSVや手動で照合すれば、精度の高い会計処理が可能


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